寺山修司という詩人(Ⅱ)

寺山修司は若くして(1983年)亡くなった。
1935年生まれだから50歳になる前に没したのだ。

おかげで若き日の写真が永久に残ることになった。
もっとも目にするのは、ちょっと上目使いに、
今にもいたずらしそうにニヤッと笑っている顔アップの写真だ。
かなりのハンサムだ。

毀誉褒貶嘘の多い作家だとか、盗作だとか、
人によって評価は違ったけれど、年代を経るに従って、
その芸術性は高く評価されてきているように思う。

今日読んだ詩は「鬼見る病」

鬼見る病と云ふあり。ひとりのときに鬼と逢ひ、見られ、と
きには嗤はるるもあり。もとより幻覚にはあらず。
鬼、ときには背広を服し、ときには女装し、箪笥のかげ、電
気冷蔵庫の中、あらゆるところより出でては、ただ見つめ、
嗤へるのみ。何もせざるがゆゑにさらにこはし。

鬼を見たる者、レントゲンにて頭蓋を透視せるに異常なく、
ただ鳥のごときかたちせる癒着部分のこれるのみ。ひとみ
な、鬼をおそれ、みづから鬼になることによりて鬼見る病よ
り免れむとせり。
されば人みな、ただ見つめ、ただ嗤へるのみにて、大いなる
嗤ひの街あらはれたりと云へり。いかにも鬼の敵は、鬼なり。

春の野にしまひ忘れて来し椅子は鬼となるまでわがためのもの

・・・げに、鬼はいつでも、遅れてくるなり。

講談社学術文庫『寺山修司全歌集』より

寺山修司全歌集 (講談社学術文庫)
講談社
2011-09-15
寺山 修司

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